- 社員の退職金を準備を準備したい
- 保険の福利厚生プランって何?
- 保険の福利厚生プランと中退共どちらがいいの?
こんなお悩みを解決します。
この記事では、養老生命保険の福利厚生プランと 中小企業退職金共済(中退共)の概要と、メリットとデメリットを紹介しています。
記事を読み終えると、養老生命保険の福利厚生プランと中退共のどちらを選べばいいか判断のよりどころを見つけることができます。
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目次
生命保険の法人契約【3つのタイプを解説】
まず生命保険の法人契約の概要をご紹介します。
生命保険の法人契約には、以下のように3つのタイプがあります。
※養老生命保険の場合
# | 契約者 | 被保険者 | 満期保険金受取人 | 死亡保険金受取人 |
① | 法人 | 役員・従業員 | 法人 | 法人 |
② | 法人 | 役員・従業員 | 役員・従業員 | 役員・従業員 |
③ | 法人 | 役員・従業員 | 法人 | 役員・従業員 の遺族 |
一つずつ解説します。
①: いわゆる「節税保険」
契約形態が満期受:法人、死亡受:法人の場合でいわゆる「節税保険」で、解約返戻金がピークのときに解約することを前提にした保険です。
通常は養老生命保険ではなく定期生命保険で契約する場合が大半です。
保険料を損金算入できるので、生命保険会社が長期平準定期保険を「節税保険」として売りまくっていました。
目に余ったのか金融庁から待ったがかかり、2019年途中から損金算入の決まりが大きく変わりました。
②:役員・従業員プラン
契約形態が、満期受:役員・従業員、死亡受:役員・従業員の遺族のプランを役員・従業員プランと呼びます。
役員・従業員プランは保険料が個人に給与課税されるのに対して、契約の解約権は法人にあるなど、問題がありますので、契約はおすすめしません。
③:福利厚生プラン
契約形態が満期受:法人、死亡受:役員・従業員の遺族のプランを福利厚生プランと呼びます。
役員や従業員の退職金を準備する目的で加入する場合に選ぶプランです。
福利厚生プランの税金【4つのポイント】
福利厚生プランの税金の取り扱いについて4つ解説します。
① 保険料の取り扱い
保険料のうち、主契約部分の保険料の半分が福利厚生費(法人税の取り扱い上、損金算入)、もう半分が保険料積立金(会計上、資産)となります。
半分ずつなので「ハーフタックスプラン」と呼びます。
法人からしたら、損金を多くし益金を圧縮して税金を安くいしたいですよね。だからこのプランを選ぶんですね。
ただし従業員全員を加入させる必要があります。特定の従業員等のみを被保険者として加入した場合、 福利厚生費ではなく給与になります。
給与は損金算入なので、法人側では一見影響がないように見えます。ところが、役員・従業員の側から見ると、所得税等が課税され源泉徴収が必要となるのです。
「特定の従業員等」とは・・・
役員や役員と親族関係にある人・部課長のみ・男性のみを被保険者にした場合等を指します。
受取人を遺族とする契約で、特定の人のみを対象にすると不公平になったり、課税逃れの意図のもとに加入することがあったりするので課税を厳しくしているようです。
ただし、加入資格や加入保険金額に格差が設けられている場合であっても、職種、年齢、勤続年数等に応じた合理的な基準による格差である場合は、「特定の従業員等」として扱われません。
「特定の従業員等」に当てはまらない場合
【何名かが引受謝絶になった場合】
全員を加入させようとして契約したが、そのうち何名かが引受謝絶(健康状態が悪く、その会社の基準では加入できないこと)になってしまった場合は、やむをえない事情であり問題ないと思われます。
ただし、加入できなかった経過を残す必要があります。
【保険会社が異なる場合】
既に従業員全員が加入していたが、今年の新人から別の保険会社で加入する場合(保険料が安い等の理由で)は、税法に明確な規定はありません。
ただし、既加入者(=先輩)と新規加入者(=新人)との間で保障の大きな格差がなければ問題がないようです。
② 満期保険金(解約返戻金)の取り扱い
法人が満期保険金を受け取った時、満期保険金と保険料積立金の合計額の差を雑収入(益金)として計上します。
逆に、元本割れした場合は、雑損失として損金に計上します。
加入目的は役員・従業員の退職金準備ですので、満期保険金の全部または一部を役員・従業員に支払います。このときの退職金は損金算入です。
ただし、役員や親族使用人に関しては過大部分の金額は損金不算入となります。
個人への課税は、退職所得です。
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③ 死亡保険金の取り扱い
法人の受け取り時は、満期保険金と同じ考え方です。
死亡退職金として、遺族に支払ったときは、退職金として損金算入です( ただし、役員や親族使用人に関しては過大部分の金額は損金不算入となります)。
遺族は、死亡退職金として相続税の課税対象となります。相続人が受け取った場合、「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があります。
④ 高度障害保険金の取り扱い
生命保険の支払事由は、満期や死亡だけではありません。
ケガや病気が原因で、所定の高度障害状態に該当した場合にも保険金が支払われる場合があります。
個人契約は非課税ですが、法人契約の場合は雑収入(=益金)になります。
個人契約の課税が気になるあなたは、生命保険に税金かかる場合があります【パターン別に解説】をご覧ください。
保険金額と保険料積立金の差額が雑収入になります。
これを役員・従業員に見舞金として支払った場合、福利厚生費となり損金算入できます。ただし、社会通念上相当な見舞金を超える部分は、給与(賞与)とみなされ、受け取った個人は所得税の課税を受けます。
生存退職金として支払う場合は、満期保険金の取り扱いと同じです。
中小企業退職金共済(中退共)とは【メリット・デメリット】
退職金準備目的の生命保険とよく比較されるのが、 中小企業退職金共済 (中退共)です。
詳しい仕組みは、中退共のホームページでご確認ください。
中退共のメリット・デメリットは以下のとおりです。
中小企業退職金共済(中退共)のメリット
- 掛金の全額を損金に算入できる
- 新規加入の場合、最大6万円助成される
中小企業退職金共済(中退共)のデメリット
- 契約者貸し付けがない
- 掛金は法人に返せない
- 加入後一定期間は割れる
生命保険と比べた場合、掛金の全額損金に目が行きがちですが、要は積み立てた分だけ従業員に返すという制度です。
中小企業退職金共済(中退共)には、生命保険のような「保障」はありません。
まとめ
養老生命保険の福利厚生プランと、 中小企業退職金共済(中退共)をご紹介してきました。
退職金を準備するために、どちらを選ぶかは経営者の判断によりますが、退職金は定年時だけでなく、亡くなった時や後遺障害等を負った時も準備しておく必要があることを理解したうえで、加入を決めていただきたいと思います。
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以上です。最後までお読みいただきありがとうございました。