身内が高度障害になってしまった。
生命保険の高度障害を請求したいが、どのタイミングが一番いいのか教えてほしい。
こんな疑問にお答えします。
この記事では、高度障害を請求しないと損をしてしまうケースや、高度障害を請求するときの注意点などをご紹介します。
僕は4年間生命保険の査定業務を経験しています。4000件くらいは実務をしていますので、営業担当や保険代理店より詳しいと思います。
この記事を読み終えれば、高度障害の保険金を請求する賢い方法がわかりますよ。
[affi id=14]
目次
高度障害とは
生命保険の「高度障害」の状態とは、一般的に以下のようなものを指します。
1 両眼の視力を全く永久に失ったもの
公益財団法人 生命保険文化センター HPより
2 言語またはそしゃくの機能を全く永久に失ったもの
3 中枢神経系・精神または胸腹部臓器に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの
4 両上肢とも手関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
5 両下肢とも足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
6 1上肢を手関節以上で失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったか、またはその用を全く永久に失ったもの
7 1上肢の用を全く永久に失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったもの
1~7のうち、どれか一つに該当すれば、死亡保険金と同じ金額を受け取ることができます。
ただし、責任開始期前に生じた病気やケガを原因とする場合は、約款に特に定めがない限り、高度障害保険金は受け取れません。
高度障害の要件はキビシイ
見ていただいてお分かりだと思いますが、どれも重篤な状態です。
失明や失語、四肢の切断などです。仕事はおろか、通常の日常生活もままなりません。
ちなみに「用を失ったもの」とは、関節のまったく動かないような状態をいいます。
ここで、もう一度、高度障害の表を見てください。あえて、太字にした項目があります。
「終身常に常時介護を要するもの」とは
「終身常に常時介護を要するもの」ってざっくりしていませんか?
介護を必要とする状態って、すごく曖昧ですよね?
具体的には、次の状態をいいます。
中枢神経・精神または胸腹部臓器に著しい障害を残し、食物の摂取、排便・排尿・その後の始末、および衣服着脱・起居・歩行・入浴いずれもが自分ではできずに常に他人の介護を要する状態をいいます。
プルデンシャル生命保険株式会社 HPより
1つでも自分でできるのであれば、原則として高度障害状態には該当しません。
ここで重要なポイントをご紹介します。
それは、 自分でできる項目が一つでもあれば、高度障害に該当しないということです。
かなりキビシイ基準だと思いませんか?全部できない状態って完全に寝たきりです。
保障が下がる前に高度障害を請求しよう
高度障害を請求しないと損してしまうケースがあります。
例えば、次のような終身保険です。
一生涯の保障(図でいう終身契約)と一定期金額を上乗せする保障(図でいう定期特約)という、一般的な終身契約です。
ちなみに、図でいう「死亡保障」には高度障害も含まれています。
保険料を払い終えると保障が下がります(図でいうと、60歳で5000万円→500万円)。
ここで事例をごらんください。
【Aさんの事例】
Aさんが50歳のときに、契約後に発症した病気で、不幸にも高度障害の状態になったとします。
Aさんは生命保険に加入していましたが、Aさんとご家族は、高度障害の状態でも保険金を請求できることを知りませんでした。
その後、Aさんは障害が回復することなく残念ながら61歳で亡くなられました。
ご家族は保険会社に死亡保険金を請求し500万円を受け取りました。
もし、高度障害の状態でも保険金を請求できることを知っていれば、5000万円を受け取れたかもしれません。
もったいないですよね!あとで知ったら後悔してもしきれないですよね・・・。
高度障害は保障が下がる前に請求しましょう。
高度障害を請求するときの3つの注意点
高度障害を請求するときに、気を付けてほしいことが3つあります。
※上の図のような、終身保険に、医療保障の特約がセットされた契約を前提としています。
注意点①:高度障害の「認定日」
高度障害を認定するにあたって、保険会社は「いつ」の時点で支払うかも審査しています。
一般的に、高度障害の状態は、残った症状がよくならくなった日時点の金額で支払をしています。
実務的には、医師が書いた診断書の「診断日」を認定日にすることがほとんどです。
注意点②:損しない請求の順番【入院給付金→高度障害保険金】
高度障害に該当すると、同時にすべての特約(オプション)も一緒になくなります。
医療特約がセットされていた場合、高度障害の認定日で医療特約もなくなりますので、その後に入院や手術などをされた場合、いっさい保険金を請求できません。
ですので、入院給付金→高度障害保険金の順番に保険金を請求してください。
注意点③:入院限度日数に達してから、診断書を依頼
入院→高度障害の順に請求すれば、なんでもいいかというとそうではありません。
一般的に、高度障害と入院の診断書は別ものです。
医師が入院の診断書より前に高度障害の診断書を書いてしまうと、入院保険金が回収される場合があります(もしくは、高度障害保険金と差し引きされてしまう)。
下の事例でご説明します。
【Bさんの事例】
・Bさんは、終身保険と医療特約(1回の入院限度日数は200日、日額5000円)に加入しているものとします。
・Bさんは、2020年1月1日に入院し、治療するも残念ながら高度障害が残りました。
・Bさんは、高度障害の診断書を医師に依頼し、医師は2020年4月9日付で診断書を書きました。
・Bさんは、入院200日目となる2020年7月18日付で入院の診断書を医師に依頼し、医師は同日診断書を書きました。
・Bさんはその後退院し、先に入院診断書を保険会社に提出して、入院保険金100万円 (=200日×日額5000円) 受け取りました。
・Bさんは、高度障害を請求しましたが、認定日が2020年4月8日だったため、2020年4月10日~7月18日の100日分(100日×5000円=50万円)が差し引かれて支払われました。
本来100万円もらえるのに、50万円も損しています。
損をしない方法はカンタンです。
入院限度日数に達してから、高度障害の診断書を書いてもらえばいいのです。
【入院限度日数に達する日<高度障害の認定日(診断日)】の順になるようにしましょう。
入院限度日数についてはこちらの記事をお読みください。
まとめ
最後にまとめます。
- 万一保障は、死亡のほかに高度障害がある
- 保障が下がる前に高度障害を請求する
- 医療特約がある場合、入院限度日数に達してから高度障害の診断書を依頼する
今回は以上です。最後までお読みいただきありがとうございました。
[affi id=14]